【書評】勝ち続ける意志力

雑記
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皆さんは、「梅原大吾」と言う方をご存知でしょうか?「ウメハラ」とカタカナ表記すると分かるかもしれません。彼は日本で最初のプロゲーマーです。

今回はそのプロゲーマーが書いた「人生の攻略本」を紹介したいと思います。

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勝ち続ける意志力とは?【あらすじ】

皆さんは、「勝つ事」と「勝ち続ける事」の違いが分かるでしょうか?正直あまり変わらないのでは?と読みながらに思っていたのですが、

現実においては、勝ち続ける人間、結果を出し続ける人間は極めて稀なのである。勝てるかと問われて頷く事はできても、勝ち続けられるかと問われると返答に窮するのが普通だろう。

と、書かれています。なるほど。

その時その瞬間に自信は持てても、それを意地継続していけるかと言われると確かに返答に困るかもしれない。

本書ではその難しい問いに、即答で『YES』と答える事ができる為の、考え方・行動の仕方が随所に散りばめられています。

  • 何かビジネスを始めてみようと思っている人
  • 何か本気で打ち込んでいるものがある人
  • スランプに陥っている人
  • 子育て中のパパ・ママ
  • 将来の夢がプロゲーマー・YouTuberの人

上記のような人には是非読んでもらいたい内容です。

さらに言えば、プロゲーマーやYouTuberを小馬鹿にするような大人にも読んでもらいたい本ですが、まぁそう言う方々は手に取ることもないでしょう(笑)

「日本国憲法前文」丸暗記事件

冒頭のエピソードを一つ紹介。著者のその後の生き方を決定づけるエピソードとして書かれて流のがこの話です。

小学生時代の夏休みに、日本国憲法前文を覚えてくるという宿題が出されたことがある。当時の僕は勉強するのは嫌いだったけれど暗記は苦手ではなく、むしろ得意な方だった。やってやると意気込んだ。するとなぜか「大吾が覚えるって言うなら、せっかくだから家族みんなで覚えよう」と言う流れになった。

仲の良い家族の話かと思いきや、著者の「姉」がこれを3回読んで丸暗記してしまったと書かれています。天賦の才と言うやつですね…恐ろしい。

調べてみたら、日本国憲法前文は634文字あるそうです…。

ここまでの才能を見せつけられては、勝つこと「超えること」を諦めもしそうですが、少年時代の著者は、そんな姉に勝つためにはどうしたら良いかを考えます。

ゲームでも、勉強でも、ケンカでも、自分がどんなに痛かろうが苦しかろうが、音を上げなければ負けではない。不格好かもしれないが、そういうやり方ならばいつか姉のような人間も参ったと言うだろう。そう思った。

自分が勝つためには、とにかく必死に頑張るしかない。才能すらもなぎ倒していく圧倒的なまでの努力。

読みながら確かに不格好だと思いつつも、どんな勝負事にも必要なマインドだと思いました。「勝つこと」より「負けないこと」に重きをおいた考え方だと思います。

あらすじとしては、上記のマインドを元に努力と試行錯誤を繰り返して世界一の称号を得るまでの話、その後2度の挫折を経験してから日本初のプロゲーマーになる過程と苦悩が書かれています。

ゲームから離れた数年間のエピソードなんかも非常に興味深いものでした。「ゲームが得意」なのではなく、まさに「勝ち続ける意志」を持った人だと分かる内容になっています。

勝ち続ける意志力【名言】

2016年東京ゲームショウで開催された国際大会にて(Yusuke Kashiwazaki/Red Bull Content Pool)
2016年東京ゲームショウで開催された国際大会にて(Yusuke Kashiwazaki/Red Bull Content Pool)

自分がどんなに痛かろうが苦しかろうが、音を上げなければ負けではない

先ほど紹介したエピソードにあった一文です。勝ち続ける為の究極の極意だと思います。

勝って天狗にならず、負けてなお卑屈にならない

簡単そうで難しい話。結果に良い意味でも悪い意味でも引きずられてはいけないと言うこと。一つ勝つ事に執着する人は確かに結果に対する反応も過剰ですよね。

上達する事を最優先に考えている

フレーズだけ聞くと当たり前に思うかもしれませんが、

弱点を突いて勝つ戦法は、勝負の質を落とすような気さえする。その対戦相手は自分を成長させてくれる存在なのに、その相手との対戦をムダにすると感じるのだ。

だから、弱点を突かず、むしろ相手の長所となる部分に挑みたい。

この文章の後にくるフレーズだと思うと、重みが増して聞こえると思います。

僕にとっての正しい努力、それはズバリ、変化する事だ

私なら絶対、世界大会で優勝なんかしたら、そのやり方に固執してしまうと思います。著者は大きな勝ちの後にこそ余計に練習するのだそうです。これも変化の時代に勝ち続けるためには重要な考え方だと思います。

勝ち続ける意志力【感想】

まず、読み始める前と後で「梅原大吾」とうい人物への印象が、いやプロゲーマーと言う肩書きの方々への印象が180度変わりました。

私自信ゲームが好きなので、特別否定的な印象があったわけではないですが、やはり趣味の延長がお金になってるラッキーな方々と言うような印象はありました。

しかし実際はそんなはずもなく、それどころか読んでいて「確かに」と思った難点が、ゲームは数年おきに仕様変更があると言うことです。

通常のスポーツや競技は、多くの場合は基準やルールがしっかり決まっていて、何十年も大きくは変わりなく競われてきていると思います。しかしゲームの世界では、数年おきに新作が作られ、その度に基準やルールの部分は大きく変わっていきます。その様な激しい変化に対応しながら勝ち続けるマインドと言うのはとても参考になるものでした。

変化の激しい現代社会において、仕事においてもとても重要なマインドだと思います。

そして同時に、ただ数をこなすだけの努力、自分を痛めつけるだけの努力はしてはいけない事を添えてくれているのも、素晴らしい点だと思います。

ただやる、頑張ると言う精神論ではなく、無駄なく効率よくやる。質の重要性も書かれているので、全体がとても説得力があるものになっています。

進路選択の教材にも、ビジネス書にも、メンタル本にもなり得るまさに「人生の攻略本」だと思います。全ての世代にお勧めできる一冊でした。

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